2018年06月01日
伊藤まゆみさん
石川県在住・48才
2011年にヤマト醤油味噌さんで始まった第1期「糀部」に参加したことです。ここで塩糀を学び、衝撃を受けました。まだその頃は塩糀が出回り始めたばかりで、塩糀って何? どうやって使うの?と興味しんしんで参加したんですが、実際に使ってみると、塩よりも甘く、旨味があって美味しい。「なんて魅力的な調味料なんだろう!」と思いました。複合的な味わいがあり、素材の旨味も引き出してくれるので、味が決まる。それまで使っていたほかの調味料を使わなくてもよくなりました。
「糀部」では調理を通して、発酵食の良さを体感できたので、もっと知識面を知りたいなと。石川県立大学の食物科学科の先生の講義が聞けると知って、迷わず受講を決めました。講義では、発酵の仕組みを微生物の活動で知ったり、発酵による旨味を数値で確認できたりと、発酵を科学的な目で見ることができましたね。ここでますます「発酵って面白い!」と興味が湧きました。
第1期糀部の卒業パーティで披露したオリジナルレシピを、山本社長が気に入ってくださり、その後の糀部の講師に抜擢されました。簡単で美味しかったことが決め手だったとか(笑)。糀部でもその点を最も重視していて、まぜて合えるだけなどの「シンプルな手順」、丼やパスタに「アレンジ自在」などを心がけています。参加者のみなさんは、「発酵食をどうやって毎日の食生活に取り入れていったらいいの」と悩んでいる方がほとんど。背景には、病気を患ったので食で健康を維持したい、子どもや家族にできるだけ体によいものを食べさせたい、マンネリ化している毎日の献立に変化を付けたい、などの理由があります。そこを解決するポイントが「時短」「簡単」なんです。
おかげさまで、生徒さんから「ためになる」と好評ですし、毎月の講座に1年間継続して来られる方もおられます。生徒さんは県内の30~40代の女性が最も多いですが、県外や60~70代の方のご参加も結構あるんですよ。そんなみなさんの「家で作って、美味しいと喜んでくれた」と嬉しそうな表情を見るのが楽しくて。家族に認められることで、ますます料理の意欲が高まっていく。「糀部」の生徒さんとともに、私も成長させていただている気がします。
発酵調味料を使うと、「~のもと」やレトルト食品など添加物の入ったものを使わなくても味がよくなるんです。1人暮らしで毎日コンビニの食品を食べていたら、無性に母親の手作り料理が恋しくなったという若い人の話をよく聞きます。手作りの料理には、人の気持ちなど“癒やしの成分”が入っているのかもしれませんね。発酵食にはさらに、微生物の働きがプラスされて相乗効果が得られるのではと思ったりもしています。
さまざまな機会で料理を教える中で感じるのは、意外にまだまだ発酵食を知らない人が多いということ。発酵食を知って取り入れている人、全く知らない人とのギャップが激しいですね。発酵食という素晴らしい食事法を知らないのは、本当にもったいないことです。これからはそのすそ野をさらに広げる活動をしていきたいですね。特にこれからお子さんを持つ方、今現在、子育て中のママにはぜひ知ってほしい。子どもという自分より大切なものができたとき、食を真剣に考えるよいきっかけになります。その時期の方々に発酵食を知る機会作りができたらと考えています。
まさに「一汁一菜に一糀」ですね。わかりやすく言うと、味噌汁と糀を使ったお惣菜とご飯。これを毎日続けるだけでいいんです。とっても簡単でしょ。日本人には古くから食べてきた和食が最も体に合っていると思います。調味料で言うと、塩糀ならば、普段の料理に“ちょい塩糀”がおすすめです。味噌汁の味噌を少し減らして、ちょっと塩糀を入れると旨味と甘味がプラスされます。卵焼きにもちょい塩糀を。卵の甘味が引き出されて、味わいがランクアップしますよ。
甘酒やみりんといった甘い発酵調味料は砂糖代わりに使いましょう。やさしい甘味に仕上げたいときには甘酒のみ、甘さをしっかり付けたいときには甘酒+みりん使いがおすすめです。ヤマト醤油味噌さんの「大麦甘酒」は糀臭さがほとんどなく、甘酒がやや苦手な方にも使いやすいと思います。しっかりとした甘味があり、スイーツにも使いやすい甘酒ですよ。ドリンクで飲みたいのは「紫の一日一糀」。酸味が効いていて、炭酸ととても相性がいいので、ブレンドして試してみてほしいですね。
伊藤さんのお気に入り