2019年12月24日
ささやかながら接客の仕事をしているとよくこんなお話をお客様から聞きます。
「私の友達が輪島の朝市に行ってきて、いしるをお土産にもらったんだけど、何につかったら良いか全然わからないのよ!!
正直もらってから開けてないんだけど(苦笑)、食べられますか?」
えー、もったいない!!!
という気持ちになるのですが、そんなときは必ず
「まずはお鍋で楽しむといいですよ~!!!」
とお伝えしています。
#いしる #お土産 #クセすごい #使い方 #わからない
ついタグづけをする前に知っていただきたい、第3回目のお話しです。
魚醤いしると言うと、臭みや独特のくせがありそうで、ちょっと苦手かもと思いませんか。以前の私もそうでした。でも、調味料としていしるを普通に使うのは、コツさえ知れば簡単なのです。そのコツとはただ一つ
魚醤いしるを、水で15倍に薄めて、一度かるく煮立たせること
すると、かつおだしとも昆布だしとも違う、「ああ、いしるは美味しい」としか言いようのない、芳醇な魚介の旨みが楽しめるのです。誤解してはいけないのは、醤油と全く同じと思わないで、魚醤いしるは適量を水でうすめて使うということ。火にかけるとなんとも食欲をそそる匂いになります。
◆いしる鍋 レシピ 2人前(調理時間 30分以内)
だし:
水 450ml
いしる 大さじ 2(30ml)
お好みで日本酒 大さじ 2
具材:
お好みの野菜 そのときに手に入るものを食べやすい大きさに切って。
(白菜、大根、にんじん、キノコ、豆腐など)
するめいか 1杯 輪切り
海老 6尾 よく洗って、殻付のままで
作り方:
だしと野菜を入れた鍋を中火にかけて、沸騰してから、さらに中火で10分ほど加熱。野菜がやわらかくなってきたら、魚介を加えてさらに中火で5分ほど加熱。魚介に火が通ったら出来上がり。先に魚介を入れると硬くなりすぎるので、野菜ファーストでお願いします。
※ホタテ貝の大きな殻を鍋のように使ったいしる鍋は、「貝焼き」とも呼ばれます。
ここで覚えておいて欲しいのは、いしる1:水15という割合だけ。
具材はお好みのものを使えば良いのですが、ナナメ切りにしたネギ、わかめを入れるとますます能登らしい「いしる鍋」の雰囲気が出ます。(写真参照)
もちろん、味はお好みですので、もしも、もっといしるの風味が欲しいと思えば、お好みに応じて水を減らしてみてください(濃い目なら 1:12~13くらい)
石川県出身の和食の鉄人 道場六三郎先生もおっしゃっています。
『僕が思うのは、旅人が能登に来たら、「いしり」の料理を一つね、必ず定番で置いておくと良いと思うんですよ。そういった貝焼きを「いしり」でね。能登牡蠣も良いでしょうね。ネギやワカメを入れて、「いしり」でコトコト炊いた一人鍋なんか、すごくお客さんに喜ばれるんじゃないかと思います。』
スーパーマーケットに並ぶ「鍋のもと」は、豆乳鍋にチゲ鍋にと毎年たくさんのバリエーションが出て、カラフルで楽しいような気がしますけど、心からほっこりできる「うちの定番」の鍋料理のレシピを、二つか三つ持っているのも素敵じゃないですか。
このいしる鍋なら、保存料などの添加物や化学調味料が入る心配をしなくても良いですし、日本で獲れた魚介ならでは、たっぷりの旨みが楽しめます。しかも、15倍の量のだしになるので、経済的。
いしる1:水15、この黄金比率を覚えていても、損はありませんよ。
あなたは、石川県の定番の鍋といえば、何を想像しますか?
いしる鍋は、いまは能登のローカルなレシピかもしれません。
でも、私は「いしる鍋」こそ石川県民が誇れる、もう一つの定番になっていくと思っています。いしるの使い方のコツを知って、この冬は「いしる鍋」を楽しんでみませんか。
2019年12月
執筆協力・山下悠那
金沢学院短期大学・現代教養学科・2年
㈱ヤマト醤油味噌 インターン
現在短期大学に所属し、主にビジネススキルや観光について学んでいます。石川県からの委託事業である海外誘客チャレンジ事業に2年連続で取り組んでおり石川県の観光振興の推進を目的に取り組みを行っています。
執筆・文責 山本耕平
㈱ヤマト醤油味噌 に所属し、日々の法人営業とともに発酵食をテーマにワークショップを各地で開催。「発酵食文化を通じてお客様の健康で喜びに満ちた食文化の実現のお役に立つ」を理念に活動中。いしる鍋の具材に水餃子を入れても絶品ですよ。
◆その他のアレンジレシピ
Coockpad いしる(101レシピ掲載中 2019年12月時点)
https://cookpad.com/search/%E3%81%84%E3%81%97%E3%82%8B
糀部レシピ 「いしるだしのみぞれ鍋」
※いしるのあわせだし「いしるだし」を使用したレシピです。
>http://ai110o3ris.smartrelease.jp/koujibupost/k_r_mizorenabe
◆参考文献
能登の醸し ブランド発信事業推進委員会
http://bunanomori.com/ishiri/michiba.html
◆外部リンク
ヤマト醤油味噌 魚醤 いしる ページ
https://shop.yamato-soysauce-miso.co.jp/fs/yamato/c/r-ishiru/
◆魚醤いしるコラム 連載まとめ
第1回 和食の絶滅危惧食文化、日本三大魚醤とは?
http://ai110o3ris.smartrelease.jp/koujibupost/wasyoku_japan_3daigyosyou
第2回 能登の塩づくりが生み出した魚醤・いしる
http://ai110o3ris.smartrelease.jp/koujibupost/noto_shouyu_ishiru
第3回 石川県民なら知っておきたい「いしる鍋」の楽しみ方
http://ai110o3ris.smartrelease.jp/koujibupost/ishikawa_ishirunabe
第4回 能登の人だけが知っていた野菜をおいしく食べる知恵
http://ai110o3ris.smartrelease.jp/koujibupost/noto_oishiichie
第5回 「いしる」×「グルテンフリー」のススメ
http://ai110o3ris.smartrelease.jp/koujibupost/ishiru_glutenfree