2015年07月23日
厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2015年版)』によると、日本人の1日の塩分摂取量は、18歳以上の男性で8g未満、18歳以上の女性で7gと、高血圧予防を目的にかなり低い数値に設定されています。高血圧を予防するためには、塩分を控えることが大切です。
味噌には塩分が10%前後と、高いと思ってお味噌を食べるのを控えていらっしゃる方もいるようですが、実は、お味噌汁の塩分は、食塩をそのまま摂取するより体によいのです。
共立女子大学の上原誉志夫教授によってお味噌汁によって塩分を摂取したラットと、食塩をそのまま摂取したラットとを比較してどのような違いがみられるのかという実験が行われました。2か月間お味噌汁を飲ませたラットとお味噌汁と同じ塩分が入った食塩水を飲ませたラットで血圧を比べると、どちらも上昇してはいましたが、お味噌汁を飲んだラットの方が食塩水を飲んだラットより血圧の上昇がゆるやかだったと言います。この理由は、味噌の持つ利尿作用によって水分と塩分が対外に出やすかったことが考えられます。また、この他にも塩分をとると線維化と呼ばれる、心臓の筋肉組織が硬くなる現象が促進されるのですが、お味噌汁を飲むと、との現象が遅くなり、また心臓のポンプ機能も良好になります。そのため、心不全予防にも効果があると言えます。
それでも塩分が気になる方は、野菜を多めに入れましょう。野菜の持つカリウムによって塩分が体外に排出されやすくなります。また、だしをしっかりとることによって、味噌を多少減らしても美味しく食べることができます。
お味噌汁は塩分が含まれているとはいっても、血圧の上昇はゆるやかであったり、心不全予防に効果があったりなど、直接食塩を摂取するより良い効果があります。そのため、実は塩分を気にしすぎる必要はないのです。